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30代後半のサラリーマンが突然会社を辞めることになっても焦らないために気をつけていたこと

      2017/02/23

中小企業庁の統計によりますと、日本の就業人口の7割程度が中小企業に務めています。僕も会社員時代はその中の一人だったわけですが、小さな会社に勤めているとその経営基盤の脆弱さから、退職等のリスクは常に抱えていかなくてはならない問題です。

そして僕の場合は実際に「社長から直々に退職勧告される」という形で突然会社を辞めることになりました。

ただ、前々から退職を意識して行動していたので、びっくりはしたもののかなりポジティブに捉えることができました。その辺りの経験を共有して、今現在中小企業、とくに小規模企業にお勤めの方の参考になればと思います。

退社勧告。その時は突然やってきた。

僕が務めていた会社は、名古屋にある広告制作会社です。もちろん広告を手配する業務も含めて請け負っていたのですが、電波やWebはできない、所謂チラシや看板や印刷物を制作して、それらの施工や折込の手配をしたり印刷したものを納品したりする会社でした。

一時は怒涛の営業活動のおかげで業績も年々伸びていたのですが、僕が辞める頃には昨今の紙離れも相まって売り上げ的には衰退期に差し掛かっていたところでした。

その頃僕は、新規で立ち上げたある事業の収益化に時間がかかることが判明して、社内での立場が微妙になっていました。どのように事業にテコ入れをしていこうかと日々頭を悩ませていたころ、昇給会議を終えた社長に呼び出されて「そろそろ辞めるか?」といったことを通達されるのでした。

突然会社を辞めることになっても慌てないために

あまりに突然のことで、正直一瞬怒りや焦りに襲われかけました。しかし会社の業績が悪化してきていること、そろそろ自分的にも次のステップを踏みたかったこと、社長や他の幹部社員との関係悪化等もあったので、すぐにポジティブに捉え直すことができました。

結果的には通達されてから1週間後には最後の出社日を迎え、40日ほどの有給消化期間に突入します。15人のメンバーがいる広告制作部門の管理者だった僕が、たった1週間ですべての引き継ぎを終えられたのにはそこまでに積み重ねてきた準備がとても大きな意味を持っていました。

身も心も会社に依存しない

まず第一に会社に対する依存度を可能な限り低くする努力を続けて来ました。どういうことかというと、会社が無いと仕事ができない状態を作らないということです。具体的に僕がやっていたことを挙げていきます。

会社の備品を極力使わず、環境を自分で揃えること

僕は広告制作部門の管理者だったのですが、自分でも多少は制作業務を受け持っていましたので、普段の業務はMacを使い、使うソフトもAdobe IllustratorやPhotoshopに加えて年間の使用料が5万円もするプロ用フォントや、MicrosoftのOfficeもかなり使っていました。

またデザインをする都合上、広い画面での作業が必須でしたので、大きめのディスプレイも必要ですし、長時間のデスクワークが恒常化していたので、ヘルニア持ちの僕としては腰に負担の少ないワークチェアは必須です。

これらすべてを自費で揃えていました。

前述しましたが、僕は制作部門の管理者でした。部内で使う備品についても商品選択を受け持っていましたので、かなり柔軟にコントロールできたのもラッキーだったのは確か。ただ、部下にも同じことを推奨していましたので、数人は自分のMacを使っていましたし、ワークチェアに関しては半数ほどが自分のものを持ち込んでいました。

これは依存度を下げるだけでなく、会社の支給する環境より高速なMacなどを使い、快適な作業環境を確保することで自分の効率も上げられるので、会社のためにもなるのです。

まあ、こんな社員がいたら社長から疎まれるのは当然かも知れません。しかし会社員というのは、会社に置き換えると一社だけの顧客に超依存状態であることとほとんど変わりません。そのリスクを意識することが非常に大切です。

少なくてもいいので仕事の窓口になること

仕事の経験を得る上でも、ビジネスの感覚を養うためにも、少なくてもいいので自分が担当するお客様を持つことは大切です。

僕はもともとデザイナーであり、制作しかやっていなかったのですが、ある時期から意識的に担当のお客様を持たせてもらい、営業的感覚を磨いていました。どうやったらお客様から仕事が頂けるのか、どんな要求やトラブルがあるのかを経験したかったのです。これは自分に営業が向いているかどうかを含めて、非常に勉強になりました。結果的に「狭義の営業」はできないということに気づいたわけですが。

自分で仕事をつくること

僕の場合は、言われたことだけをやるのに我慢できない正確でしたので、自分からどんどん仕事を作っていました。社内環境の整備から、お客様への提案資料の制作、新事業の提案など。

言われたことだけをやっていても、それなりの仕事はできるようになるかもしれませんが、本当に壁にぶつかるような経験をすることができません。頭の良い人は歴史に学ぶのでしょうが、僕は決して賢くないので経験に学ぶ人生を送ってきました。経験していることは大体対処できるものです。そのためにもなるべく沢山の壁にぶつかる経験をすることは非常に大切だと考えています。

これは、自分が他の環境に行ってもちゃんと仕事ができるという自信につながります。小さなことでもいいので、自分で仕事を作って提案して、やらせてもらうようにしましょう。

仕事を手放す

会社の中で仕事をしていて自分が一番理解している仕事があると、そしてその仕事が会社にとって重要度が高ければ高いほど、会社の中での影響力が増していきます。これは会社員をやっていて非常に気持がいい状態と言えます。ただ、会社から見れば仕事が個人に紐付いてしまっていますので、不健全極まりない状態となります。

組織が小さく社長の目が十分に届き、社員のモチベーションが高く保たれている場合にはそれでも問題ない場合が多いのですが、例えば会社の業績が悪くなり、労働に見合った待遇を与えなくなった場合、そういった影響力を持った社員は悪い影響も大きく与えてしまいます。やはり組織において「属人化」というのは大きな課題の一つとなるように思います。

僕は仕事の属人化をとても嫌っていました。事ある毎に「明日死んでも仕事が回る状況をつくれ」と言っていましたし、自分でもそうしていました。

おそらく退職勧告からの引き継ぎが1週間で済んだのはこのことがとても大きいと思いますし、例えば社員が風邪を引いて休んだ、結婚して一週間新婚旅行に行った、奥さんの出産で急に早退したといった事態にも、戦力の低下という問題は発生するものの、わからないことがあって仕事が回らないということはほとんどありませんでした。

自分の仕事を手放すのは勇気がいるものです。しかし器を空けないと中身は入ってこないのです。意図的に自分の器を空けることで、新しい仕事にチャレンジする機会が訪れると思います。

これはいま会社を経営していてもとても強く思います。精一杯働いていますので、そこそこ業績もよく充実はしています。ただ、いまの業態の未来に疑問を持っているのも確か。ですので、不安はあるものの少し身体を空ける、すなわち仕事を減らす努力をして、次へのステップを踏み出そうとしています。

副業をする

副業は絶対にしたほうがいいです。金銭的に潤うだけでなく、自分が仕事をもらって自分のお金を稼ぐという感覚は本当に大切です。その仕事を得るために自分の時間やお金をどう使うのか、という感覚が身についていきます。

例えば、その仕事を頂くためにはこのフォントが必要だ、ということもあるかもしれません。フォントというのは非常に高価なものもありますので、今回の仕事では回収できないかもしれない。だけど、手持ちの資産になることを考慮して購入するかどうかを判断しなければなりません。

またかかる時間に見合わない報酬の仕事もあるかもしれませんが、そんな時もまだやったことのない仕事だった場合であれば経験を買うという意識でその仕事を請けるという判断を下すことができるのです。

独立する場合は当然のことながら会社員として働く場合でも、コスト意識はとても大切です。会社員でいると会社のお金は自分のお金ではないので、どうしてもコスト意識が希薄になりがちですが、いま会社を経営している立場の僕から見ると、会社のお金を自分のお金のように使える社員は、本当に心強いのではないかと思います。もちろん会社のお金で個人のものをかってはいけないのは当たり前ですが。

社外の世界を広く知る

会社員をしていると、特に営業職ではなく社内のコミュニケーションで仕事が成立してしまう環境にいると、会社の外の世界との接点が少なくなり、他の会社にいるひとがどんな感覚で仕事をしているのかということがわからなくなってきます。

僕がいた会社もご多分に漏れずブラック企業でした。朝の9時に出社して、会社を出るのは日をまたぐのが当たり前。繁忙期には徹夜も当然でしたし、それでいて残業代は一切出ませんでした。

部下を持つ身分だったのでよく分かるのですが、実は会社は社員に外の世界を知らずにいてもらったほうがコントロールしやすくて都合が良いのです。余分な知識をつけられることや、「お前のところヤバイよ」ということを言われますので。ですので、ブラック企業は長時間拘束することで社内のコミュニケーションだけに閉じ込めることができ、しかも安く長く働かせることが出来るので一石二鳥なのです。

この状況を打開するには社外に出て行くしかありません。特に同業他社のひととコミュニケーションすることはある時期まではとても大切です。僕はWeb制作系の勉強会への参加をきっかけに人とのつながりがとても増えましたし、自分の仕事内容の価値を測ることも出来ました。

こういったことから会社や家族以外の関係を広くしていく行為はとても大切です。

まとめ

中小企業というはいつ社会の状況次第で業績が大きく左右されます。また、僕の務めていた会社の社長は特別だったかもしれませんが、やはり業績が悪化すると守りに入ることが多く、そうなると業績が上向くチャンスが更に減ります。そしてその次に待っているのは減給や賞与のカット、そしてリストラです。

そうなっても慌てないために、日頃から準備し経験を積み上げておくことをオススメしますよ!僕はそのおかげで退社後すぐに会社を設立して、いままで順調に業績を伸ばしています。独立に限らず、転職するにしてもあせらずに次の就職先を探す余裕が出るはずですので。


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