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ブラック企業を辞められない人と泥沼でも離婚できない夫婦の共通点

      2017/02/23

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僕はいま小さな会社を経営していて、さらに紆余曲折ありながらも結婚生活が11年になります。

普段から雇用や結婚の問題を考える機会が多く、そのふたつには多くの共通点があると考えるようになりました。

結婚については企業と従業員の関係に、企業と従業員の関係のことは結婚に置き換えて考えると何かと腑に落ちることが多いのです。

で、先日スタッフと話していて、ブラック企業を辞められない人と冷め切った夫婦関係を解消できない人の共通点について話題になったので、ちょっと考察してみたいと思います。

ブラック企業を辞められない原因

僕も独立前は明らかにブラック企業にいました。

朝9時に出社して、退社は翌日午前2時は当たり前。

そんな遅くまで仕事をしていても、朝9時には全員揃って出社していました。

会社側からすれば残業代など最初から支払う気はなく、すべてサビ残(※サービス残業)で、僕は土日出勤を含めると最大200時間程は残業していました。

ある日社長が社労士に

「ウチなんて残業代払ってたら潰れるからなwww」

って笑いながら話してるのを聞きました。

その時の僕の感想は「そうだよねー」でした。

もう明らかにおかしい。

確かにワークシェアという観点で言えば、少ない給料で多くの社員を雇うのは、やり方によっては社会貢献につながると思います。

でもそれは、拘束時間に対する賃金を適切な金額で支払うことが大前提です。

僕がいた会社のように、「残業代払うと潰れるから払えないけど、あり得ないほどの時間を拘束したい」などというのは、正直虫がよすぎる話です。

で、当然離職率も高いだろうと思うのですが、これがそうでもないんですよね。

もちろん入社してきてすぐに辞める人もたくさんいます。

イメージとしては1年以内に2/3は辞める感じでしょうか。

でも、僕も含めて長い人は10年以上勤めていたりします。

1年超えるとなかなか辞めない。

だから、スタッフに辞められると単純に戦力低下で困る現場としては、なるべく1年続くような社員を入れようとするわけですね。

となると、採用面接で注目するのは以下になります。

  • (会社側から見て)余計な知恵を持っていないか
  • 根性はありそうか
  • 同僚を退社に追い込まない人格か

これ、見て分かる通り職務の能力は二の次なんですよね。

前職は、かっこいい仕事なんて一切来ない泥臭い広告会社。

まずは量をこなせることが正義。質はその次の次くらい。

アドビソフトの基本的な操作スキルは必要な物の、正直ちょっと慣れれば誰でも出来るレベル。

もちろんその中でも「仕事が速い、出来るスタッフ」と「何やらせても遅くて質も低いスタッフ」というのがありました。

それでも総じて「誰でも出来る」仕事でした。

そんな仕事なので当然、ビジネスとしては薄利多売の価格勝負となっていきます。

誰でも出来る仕事で、仕入れもないので資金もそれほど必要の無い業種。ということは参入障壁がかなり低いわけです。

あとは営業が安い価格で取ってきた仕事を、必死に作って納めて、作って納めての繰り返しです。

他社でも出来る仕事なので、クライアントからの感謝なども一切ない。

逆に「仕事出してやってんだから無理聞けよ!」的なスタンス。

いま考えれば、会社の社会的な存在意義はほぼ無くて、社長とその家族が儲かっていることだけが存在しうる理由だと思います。

社員にとっても、他にも同じような会社はいくつでもあるので、別にこの会社が存在しようがしなかろうが、本来は関係ないわけです。

その状況で、なぜ社員はブラック企業を辞められないのか。

これは明らかで、他の会社へ行くのが不安だからです。

「いまの状況より悪くなってしまうのではないか」

という気持ちが、他の環境へ移る気持ちを萎えさせ、「今の環境ならまだましだ」と自分を納得させて耳を塞ぎ、視野を狭めてしまうわけです。

本来は多少の条件の違いはあれど、そんなに待遇は変わらないはず。

それでも「一度得た自分の居場所」というのは、人間を硬直化させてしまうんですよね。

しかも、僕ら現場にいる先輩社員は、先にも述べましたとおり単純な戦力ダウンを防ぐために社員の離職は極力防がなくてはいけないのです。

そのためには、後輩社員が離職したくなるような情報からは極力遠ざけ、なるべく「バカでいてくれること」を望むようになります。

社内の悪い話だけではなく、社外の条件のいい話に触れさせないようにしたい。

こうして閉塞感のあるブラック企業がどんどんと醸成されて行くのですね。

実際に僕が入社してから13年間見てきたので、間違いないと思います。

不仲でも離婚できない原因

さて、離婚できない原因についても考えていきます。

僕は結婚生活12年目。

前職在職中に結婚して二人の子供がいます。

ウチの家庭の夫婦仲はそれほど悪くは無いと思いますが、さして良くもありません。

何かのきっかけがあれば離婚、ということはあり得なくはないと思います。

ただ、周りを見ていると明らかに夫婦仲が悪く相性も良くないのに、結婚生活を維持している夫婦もいます。

彼らは本来リラックスすべき家に「気の合わない人」がいるという、とても不健全な状況になってしまっています。

夫婦仲が良くなくなって、改善の見込みが無いのにその婚姻関係を維持していきたいと思う原因は何なのでしょうか。

おそらく、多くの場合は「子供がいて育てていく必要がある」ことに原因があるのではないでしょうか。

逆に子供がいなければ離婚は割りとスムーズに進むことが多いようです。

僕も二人の子供がいるので理解できますが、やはり子育てを片親でしていくことって物理的にも金銭的にもかなり無理があるんですよね。

この現代の日本社会で子供を育てるためには、最低限夫婦間の協力関係が無いと難しいのは事実です。

例えば僕たち夫婦が離婚したとします。

まず、子供が8歳と4歳。小学3年生と幼稚園児です。

この子供たちを僕が引き取ったとします。

独立後も広告関連の仕事をしている僕は朝も早い上に帰りも遅く、保育園だとしても送迎は難しい場合があるでしょう。

そうなると、子供の送迎や食事の世話などで仕事に制限をかけるか、もしくは深夜に仕事をすることになります。

仕事に制限をかけた場合は、一時的にかも知れませんが同じ収入を得ることが難しくなるでしょう。

深夜に仕事をすることを選択した場合でも、体という最も重要な資本を損なう可能性があります。

また、仕事を得るためには、自分に余程尖った能力がない限りは「コミュニケーション」が重要。

人は同じ能力を持っている人だったら、仲がいい方に仕事を出します。

ということは必要最低限の付き合いは必須でしょう。一人で子育てをしていると、そういうことも難しくなってきます。

一方、妻が引き取ったとしたらどうでしょうか。

まず、妻は専業主婦で、現状収入がありません。

そして社会人としてもキャリアも、今から復職するのに役に立つレベルではありません。

となると子供たちを今までの生活水準で育てるためには、実家の力に頼らざるをえないわけですね。

妻の実家も、孫や娘と別々で暮らしながら、生活レベルを落とさない程度のお金を出せるような裕福な家庭ではありませんから、当然実家に帰ることになると思います。

となると、子供たちの環境の変化が大きな問題となってくるんですよね。

これらの子育てに関する負担と、自分たち夫婦の不仲を天秤にかけた結果、婚姻関係の維持を選択する夫婦が多いと言うことです。

こうしてお互いに無関心で冷めた、セックスレス夫婦が出来上がっていき、双方が不倫に走るわけですね。。。

両者に共通している問題点はその流動性の無さ

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さて、ブラック企業を辞められない労働者と、冷めているのに離婚できない夫婦には、ある共通の問題点があると考えます。

それは「流動性の無さ」だと思います。

例えばブラック企業問題で言えば、「他の会社に転職しづらい」ということですね。

そもそも他の会社に転職しづらいから、ブラック企業に居続けることになります。

そして転職しづらいということは、もし転職で企業選びに失敗した場合にも再度転職することが難しいということです。

せっかく情報収集して面接をくぐり抜け、ようやく転職したとしても、そこがまたブラック企業である可能性は排除できないわけです。

前職もそうでしたが、ブラック企業は面接ではいいこと言いますからね。なかなか見抜けない。

入社してから「あ、ここもヤバイ」と感じたら、再度就職活動をしなければいけません。

そしてまた何社にも応募して面接を受け、その上で不採用となる確率だってあるわけです。

このサイクルに入り込んでしまうと、かなりしんどい戦いになってしまいます。

こう考えると、その怖さから現状維持に走ってしまい、ブラックな環境を受け入れざるを得ないわけですね。

そして結婚生活について。

こちらも同様に流動性が無いことによって離婚しづらくなるわけです。

婚姻関係の流動性ってどういうことかというと、要は離婚した後に再婚したり、独身で生きていくのが難しいということです。

離婚した後の生活に不安がなければ、おそらく日本でも離婚が爆発的に増えるはずです。

「子供がいなければ離婚している」という夫婦、自分の周囲にもたくさんいますからね。

そもそも結婚する前は、男女は短いと数ヶ月、長くても数年で色んな相手と付き合ったり別れたりするわけです。

しかも若い頃であれば尚更ですが、付き合っているときは気持ちが盛り上がっていて「世界で一番好き!」みたいな感情になることもありますよね。

でも結局結婚などせずに、数ヶ月から数年後には別れてしまうことが多い。

人間なんてそんなものなのに、「結婚」という契約を交わした途端に、その付き合ったり別れたりという行動を抑制することができると考える方が不自然だと思うんですよね。

どうしても結婚前にはわからなかった「相性の問題」で別れたくなることもあるでしょうと。

でも、今の日本の婚姻制度や社会制度、(かなり寛容になってきたとは言え、)社会通念などがそれを許さない。

子供がいる場合の離婚は本当に消耗するし、子供たちの将来も考えないといけない。

また、男女問わずシングルで子育てをするのは時間的にも金銭的にも負担が大きすぎる。

そして、ひとりはしんどいのでいい相手がいれば再婚したいのに、相手がいない。

こうして冷め切った夫婦関係を甘んじて受け入れ、子育てが終わるまでは何とか仮面夫婦を装う。

冷め切った夫婦でも、男性であれば直接的な性欲もあるし、女性でも精神的な支えが欲しい。

そして不倫に走る。

結果、子供たちが独立した瞬間に熟年離婚というパターンですね。

このように、ブラック企業の問題も、冷め切った婚姻関係の問題も、根本には辞めづらい、離婚しづらいという流動性の無さが原因となっていると思います。

共通した解決策

 

これら二つの問題に共通した解決策があると思うんです。

それは、要はその関係を一方的に解消しやすくするということです。

ブラック企業との関係であれば、会社側から解雇しやすくする。

夫婦間の問題であれば、例えば三行半を叩きつけやすくする。

これによって、それぞれに社会的に流動性が出て来るのではないかと考えています。

会社の場合

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会社を経営していると分かるんですけど、会社は従業員をなかなか解雇しづらいようになっているんですよね。

でも解雇しやすくなれば、企業としてはその欠員をより優秀な人材によって補いたくなるので、採用活動も活発になるはずです。

そうすると、結果的に従業員も再就職先が見つけやすいので、会社をやめるという選択を取りやすくなります。

会社を辞めやすくすることで、ブラック企業からは優れた人が離れていき、経営が立ち行かなくなるはずです。

こうして生産性の高い、価値ある企業が生き残り、優秀な人材が集まるので業績も向上、さらに再雇用を促進していくというスパイラルが期待できます。

結婚生活の場合

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結婚生活についても同様です。

どちらかが離婚したいと言えば、法的に半ば強制的に離婚できるようにする。

もちろん子供のことは慎重にならなければいけません。

しかしそもそも「夫婦だけでの子育てこそが是」という空気が、冷めても関係を維持せざるを得ない状況を生んでいるのです。

良く言えば「子は鎹(かすがい)」。ですが、子供がいるがゆえに離婚できずストレスに満ちた生活を送る夫婦が存在するのも事実。

ですから、離婚しやすくすると同時に社会全体で子供を育てていく仕組みの構築が必要です。

離婚することのハードルを下げることで、当然再婚や出会いを求める男女が増えてきます。

ずっとひとりはしんどいですからね。

そして再婚がしやすくなると、更に離婚のハードルが下がっていくので、夫婦関係に流動性が生まれてきます。

こうすることで、お互いに冷め切った関係の仮面夫婦を仕方なく続けることなく、より幸せな結婚生活を送れる可能性が増えると考えます。

でもその解決策には問題点も

この二つの解決策には問題点があります。

それは、能力の低い人や魅力の無い人はその好循環から外れてしまうということです。

企業の解雇の自由度を高めると、当然、良い企業には優秀な社員が集まります。

結婚についても同様に、魅力のある人はすぐに再婚できるでしょうが、容姿や収入などで魅力に乏しい人は再婚のチャンスなど巡ってこないでしょう。

これは非常に資本主義的で、格差を生みやすい仕組みだともいえます。

結婚についてはちょっと当てはまらないところもありますが、この格差を生まないように、法律によって解雇を規制しているわけですね。

よって日本は社会主義的資本主義だと言えそうです。

自由競争である資本主義のはずが、解雇規制によって労働意欲の低い従業員でも雇用を維持せざるを得ない。

これを撤廃すれば、当然いらない人材を切り始めるでしょうし、それによって生産性が向上した企業は優秀な人材を更に良い待遇で雇用するでしょう。

一方で労働意欲や能力の低い人は転職がさらにしづらくなるので、低い給料でつらい仕事をせざるを得ません。

結婚についても、離婚しやすくすると魅力のある人はどんどん再婚し、ひょっとしたらその経済力によって事実上の一夫多妻や一妻多夫のような重婚状態が発生するかもしれません。

一方で魅力の無い人は結婚するチャンスが奪われ、生涯独身で過ごす可能性も高くなります。

これを仕方の無いこととして捉えるかどうかは、資本主義と社会主義のように単純にどちらが良いという話でもなく、どちらにもメリット・デメリットがあるのです。

まとめ

ブラック企業の問題から冷め切った結婚生活について考察してみました。

個人的には社会の流動性を高めることで幸せになれる人が増えると考えているのですが、それは僕が健常者であり、所謂中流家庭で育ったからかも知れません。

これが恵まれない境遇だったとしたら、逆の考え方になっていく可能性も否定できません。

ただ、やはりブラック企業を何故か辞められない人たちや、冷め切った夫婦関係を「子供が独り立ちするまで」と何とか継続している人たちを見ると、やはり健全ではないと考えてしまいます。

もし解雇しやすく、離婚しやすくしたとしても、自分の魅力や能力を磨く努力をしたものが報われる社会になるわけで、そうすれば社会全体の生産性や幸福度が増し、結果的にその恩恵に預かれる総量は増えるのではないかと考えています。


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 - 仕事, 夫婦生活