制作側への報酬から導くホームページ制作の適正料金はどのくらい?
どもです。サトウです。
本日Facebookを見ていたら、こんな記事を目にしました。
→ 魚拓はこちら
この記事、稀に見るクソ記事なわけですが、ちょっとあまりにもクソすぎるので考察しつつ、ホームページ(Webサイト)制作にどのくらいの費用を払うのが適正なのか考えてみます。
件の記事がクソな理由
さて冒頭で挙げた記事がクソなのはなぜか。それは以下の理由からです。
- タイトルが「徹底解説!」なのに「ざっくりと」を連発
- タイトルが「徹底解説!」なのに見積項目があまりにもザックリ過ぎ
- ディレクションの単価がバイト並
- その他の単価も軒並み安い
- おそらく「人日」の使い方を理解していない
- 「一般の人」をミスリードする可能性が非常に高い
ま、こんなとこですかね。
正直に言いまして、自分も見積はいつも苦労しています。
お客さんの出せる費用と自社の利益のバランスを取る必要がありますからね。
こちらも慈善事業じゃなくて営利企業なので、ある程度利益をいただかないと「やる意味がない」のです。
見積が高くて「お前んとこに出さんでも他にいくらでもおるわ」という方もいらっしゃるでしょう。
そういう人はこちらからお断りですからーーー!
まあウチは口コミで紹介してもらう案件が100%なので、相見積すらほぼないですが。
制作者にも生活がある
そもそも記事にある「ディレクション費用:1人日10,000円」って8時間稼働だとしたら時給1,250円ですよ。
バイトですか?
バイトくんの時給で、webサイト制作の根幹となるディレクションを担っちゃうわけですか?
これ人日の使い方を完全に間違っていると考えています。
人日って、一人の人が8時間稼働した場合いくら支払うか、の金額ですからね。こんなの常識です。
おそらくこれがわかってない時点で終わってますね。炎上マーケならいざしらず。
で、制作者が普通に生活しようとした場合、どの程度の費用が適正なのか考えていきましょう。
フリーランスと仮定して、40万円の収入を得るために
それでは考えていきます。
仮に、フリーランスで月に40万円の取引額を得たいとします。年商に直して480万円。
正直かなり少ないですけど、まずはこのくらいで。
40万円を1ヶ月22日8時間稼働で得ようとすると、割り算すればいいだけなので話は簡単です。
時給2,272円です。人日18,176円。クソ安いな(汗)
そこから税金や打合せの交通費、打ち合わせ時の会議費、オフィスの家賃などが発生して、おそらく手取りは30万を切るでしょう。
なんの保証もないフリーランスで30万ってマジでパないです。即死です。病気にかかって長期入院したらどうすんだよ。
このことから、人日10,000円がいかにおかしい金額かがわかると思います。
制作費してはどのくらいが適正なのか
ぶっちゃけ、制作費の相場はないんです。
でも、人日単価の相場はあります。
僕の周囲のフリーランスの制作者だと、35,000〜40,000円というところでしょうか。デザイナー・プログラマー問わず。
仮に40,000円だとしたら、22日稼働で880,000円。
事業所得としてみればそこそこいい感じかと思いますが、ここから経費や税金がガツガツ抜かれていきますからね。
それほど儲かってません(汗)
ましてや家族を持つとなると多分全然足りない。
また、法人として組織でやっているのであれば、もう少し高くなったり、安くなったり、こちらも考え方次第で色々です。
そして、同じ人日単価でも、作業が早い人もいれば遅い人もいます。
作業が早い人がやればその分安くできますし、遅い人がやればどんどん費用がかかってきます。
で、結局どのくらいかかるの?って話ですが、存在しているだけでOKという更新性のない会社案内サイトで、デザインにこだわらないのなら10万円くらいが妥当じゃないですかね。
どっかのテンプレート使ってやってもらえばいいですから。JimodoとかWixもありますし、自分でやったほうがいいかも。
ただ、Webサイトを使って集客したり、売上を作っていこうという場合は、感覚値ですが最低でも70万、欲を言えば100万円程度は用意されたほうがいいと思います。
これがまたECサイトなら話も変わってきますし、結局やりたい事次第なんですよ。
これが僕が先日出した実際の見積金額です。
項目 | 単位 | 価格 |
---|---|---|
仕様策定・WF作成 | 一式 | 150000 |
デザイン(TOP・下層) | 一式 | 580,000 |
HTML構築 + JS実装 | 一式 | 363,000 |
WordPress組込 (カスタム投稿タイプ・カスタムフィールド実装) |
一式 | 257,000 |
操作マニュアル作成費 | 一式 | 50,000 |
全体進行管理費 | 一式 | 352,000 |
合計 | 1,752,000 |
「高っ!」
って思った方いらっしゃいますよね。わかります。
でも、この場合要件として挙がってきていた「やりたいこと」が、JSグリグリで動きのある表現を求められつつ、WordPressでの更新をしっかりと考えたサイトでした。しかもクライアントは東証一部上場企業。
そりゃこんなもんにはなりますわ。
元請けがここにさらにドンと乗せますので、クライアントはもっともっと払うことになりますね。受注したらですけどね。
もちろんもっと安くできますが、その場合は何かが削り取られているのです。
実際にこの時、廉価版の見積も出しました。以下がそれ。
項目 | 単位 | 価格 |
---|---|---|
仕様策定・WF作成 | 一式 | 75,000 |
デザイン(TOP・下層) | 一式 | 125,000 |
HTML構築 + JS実装 | 一式 | 173,000 |
WordPress組込 (カスタム投稿タイプ・カスタムフィールド実装) |
一式 | 205,000 |
操作マニュアル作成費 | 一式 | 50,000 |
全体進行管理費 | 一式 | 153,600 |
合計 | 781,600 |
同じ案件・同じ制作者(弊社)の見積でもこれだけ差が出せるんですよ。やることによって。
だから、制作者の見積で値引き交渉をして人日単価を下げてもらったとしても、結局は作業工数を削らざるを得ないわけですし、そうしてるわけです。
値下げを要求した場合、時間単価ではなく工数が下がっている
そりゃそうですよね。当たり前。
基本的にWeb制作は時間売りです。
あなたの案件に何時間使ったかが、自分の収入に直結するわけですから。
で、制作者側から見て不当な値下げ要求があった場合、複数の案件を同時に進めるしか無いのです。
制作者があなたのために1日費やしてくれていると思っていても、実際はもっと少ない時間で進めているわけです。
となると、細かいところがおろそかになったりします。こんなの当たり前の話ですよよね。
自分の仕事に置き換えて考えてみればわかる
なんでそんなに高いんだ!と思われる方は、自分のお仕事に置き換えてみてください。
自分の時間価値がいくらかを考えれば、色々わかると思います。
あなたは自分の時間価値をどのくらいだとお考えですか?
ウチの会社は一ヶ月の売上が平均して350万円ほどです。
ですから、僕が1時間フルに使うとなると19,886円を生み出さなければ行けないわけですね。本来なら。
ま、実際には労働時間がかなり長いので11,000円程度です(T_T)
そこからスタッフの給料や家賃、税金、外注費などを支払ってようやく残ったお金が利益です。
全然儲からないでしょ?
翻ってあなたの時間価値はいくらでしょう?そしてWebサイト制作者の時間価値はどのくらいが妥当なのでしょうか。
少なくとも、どちらも1時間1,250円ってことはありませんよね。
依頼側がある程度勉強しないからボッタクられる
Webサイト制作って高いなあと思われる方多いですよね。
わかります。
でもね、どうしてそんなに高いと思うのか。
それは圧倒的に知識不足だからですよ。
自分の会社のWebサイトって、下手したらクソみたいな営業マンを中途で雇うよりよほど価値をもたらしてくれるんですよ。
社員を雇うとき、採用媒体の掲載費用も高いし、教育コストもかかるし、もう在籍しているだけで月に数十万円がドバドバ流れていきますしね。
人にはそんなにお金を使うのに、Webのことを勉強せずに、専門家に作ってもらうだけの意識でいるのであれば、言い値になるに決まってるじゃないですか。
そんでよくわからんままに相見積とって、どうやって決めていいかわからないのに適当に勘で決めたり、一番安いところに決めるわけです。
そんなの不幸になるに決まってるんですよ。
だから、依頼側のリテラシーを高めるしか無いんです。
技術的なことなんて細かいところまでわからなくてもいいんです。
ただ、どんなことをしなくてはいけないのか、どんな仕組みで動いているのか、さらに検索エンジンはどういうところを評価するのか、ということを大まかにでいいので把握しておく必要があります。
会社の事業として何かに投資する際に、その投資対象について勉強しますよね?
それと一緒です。
あ、繰り返しますが、なんの結果も求めない会社案内サイトならどうでもいいです。そういうのは適当にクラウドワークスとかで作ってください。
どこに依頼していいかわからない場合は、勉強会にいくといいかも
さて、それではどうやって勉強するのか。
これはある程度の都市圏に行かないと難しいかもしれませんが、Web系の勉強会に出席するのがいいでしょうね。札幌仙台東京大阪名古屋福岡なら、探せば何かしらあるでしょう。
ちょっとくらい遠くても出張してください。
展示会とか行くでしょ?それと同じですからね。
もちろん最初はまったく理解できないかもしれません。
しかし、先程も書きましたが、投資対象について勉強しないなんてありえないんですよ。
僕だって、昔は紙オンリーのその辺にいるサラリーマンデザイナーだったわけです。
それが頑張って勉強して、質問できる人を作って、その人にも価値を提供して持ちつ持たれつでここまでやってきたわけです。
そのスタートは勉強会への参加でしたからね。
勉強会に行って「Webについて学んでいるんです」と言えば、相談に乗ってくれる人は山ほどいますよ。
そして、勉強会に出席している人はまじめな人が多いはず。
複数の人に話を聞いて、頑張ってコミュニティに入っていけば、絶対に失敗しないサイトを適正価格で作ることが出来るのではないでしょうか。
まとめ
とにかく冒頭で挙げたような記事の単価でWEbサイトを作って、いいことはほぼありません。
あなたにも生活があるように、制作者にも生活があることを理解して、適正な単価で依頼をしましょう。
もしお金がないなら、制作者の工数を減らして価格を下げてもらうことを相談してください。
間違っても人日や時間単価を値切ってはいけません。途端にやる気を無くします。
そして、ボッタクられないために自衛をしましょう。それには勉強しかありません。
自分できちんと知識を付けて判断できるようになればWebサイトは投資となり、そうでなければコストセンターになってしまいますからね。
それでは、また!
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