自宅は避けてコワーキングスペースが最適?起業時に孤独を回避する方法
2017/02/23
僕は2年前、突然会社を辞めることになって、急遽会社をつくって独立しました。そこからとにかく忙しく働き続けて来たのですが、やっぱり事業主の立場でしか知り得ない、会社員でいる間にはなかなか実感できないことがあります。
その中でも事業主独特の孤独感とそれを回避する方法についてお伝えして、これから会社を辞めて独立しようと思っている人の参考になればと思います。
全責任が自分にある状況を楽しめるかどうか。
会社員が会社を辞めて独立することによる一番の変化は、「すべてのことを自分で決めていい」ということでしょう。
実際に僕は会社を辞めることになる数年前から「自分で決められない」ことに対して大きなストレスを感じていました。
そして今でも他の経営者仲間から「一緒に仕事しようよ」と、合併や社員となること、また逆に「社長やってもらっていいから」と言ってもらえることもありますが、一人でいると何から何まで自分で決められるので、この状況を手放せずにいます。
この「すべてのことを自分で決めていい」という状況、僕にとっては麻薬的に手放せないものになってしまいました。多分13年間同じ会社に勤めてきた間に色々溜まっちゃってたんでしょうね。
通常、会社員でいるということは基本的に「我慢」がついてまわると思います。それが全て自分で決めていいという状況になると、例えやっている仕事が会社員時代のそれと同じだとしても、やるかどうかを決めているのは自分なのでまったくストレスを感じないのです。
そう、「嫌ならやらなきゃいい」のです。
しかしこの「すべてのことを自分で決めていい」というのは、裏を返せば「全責任を自分が持つ」ということに他なりません。
例えば、こんなことが考えられます。
- 仕事が欲しいがために安い金額の案件を受けてしまって他のお客様に迷惑をかける
- 案件に余裕を持って臨もうと思ってちょっと高めの見積を提出して、そもそも失注する
- ミスが重なってお客様が離れてしまう
- 外注さんのクオリティが低くて自分で作業しなくてはならない
- そもそも仕事が無い。
当たり前ですが、これらすべてのことが全部自分の責任です。
独立すると、会社員時代に縛られていた殆どのことから開放されます。その代わりに何をしようとすべて自分の責任。
これをどう捉えるかです。
この状況を楽しむことができなければ、精神的な苦痛から鬱になったりすることも考えられます。逆に楽しむことができれば、おそらく仕事はうまくいくのではないかと思います。前向きな空気が出ている人のところには、仕事が流れてきますからね。
1年目はとにかく先が見えない不安との戦い
僕の経験上、1年目はすべてのことが初めてです。これがホントにストレスを伴いますし、不安で仕方が無かったです。
例えば、1年通じて自分の役員報酬以外にどのくらいのお金が出て行くものなのか、また来月、再来月の仕事あるのかなど。税金はどうなるのかといったことや、経費としてどの程度お金を使っていいのかなども。
また起業したてだと、安い仕事を受けてしまいがちです。
これについては、僕は良い側面もあると思っている方ですが、安い仕事をくださる人はそれなりのお客さんでしか無い、ということが往々にして有ります。例えるなら、吉牛の客層と高級レストランの客層、どちらがしっかりしていて品が良いかを考えればわかりやすいと思います。
※僕は吉牛大好きですけどね!
その「安い仕事」を頑張ってこなして納める。その結果、支払いが無いということもありえます。実際に僕は幾つかの費用を回収できていません。
初めは腹が立って仕方がないのですが、これもある日から気にならなくなります。そう、自分の責任なんですよね。これも。
でも当時はそんなこと本当の意味では理解できていないので、どんどん不安になったり暗い気分になってきます。
独身であれば、多少売上が少なかったとしても自分が我慢すればいいだけの話ですが、僕の場合は家族も持ち家もある状態で独立したので、とにかくいろんなことが不安でした。
しかしこれも徐々に慣れてくるというか、その状況が普通になってしまえば全然気にならなくなってくるのですが。
孤独に立ち向かうのではなく、上手に付き合うこと
事業主は、基本的には孤独です。
僕が「独立しよう!」と思った時、最大に背中を押してくれた言葉は、すでに8期ほど会社を経営していて、社員も30名、東京である程度の成功を収めている友人とFacebookのメッセンジャーでのやり取りの中のある葉でした。
「独立したいなら絶対にしたほうがいい。失敗したら笑うけど。」
僕はこの言葉をもらった時に「ハラが決まった」のです。
何て楽しそうなんだと思いました。
もちろん全責任を自分で追わなくてはいけない。でも、失敗しても友人が笑っていられる程度のことだ、と感じたのです。
この言葉を読んでどう感じるかは人それぞれだと思いますが、孤独だということ、そしてそれは楽しむものだという考え方を教えてもらえました。
僕は基本的に、孤独には立ち向かってはいけないと思っています。苦労は美徳でもなんでもないのです。必要なときに必要な苦労をすれば良い。事業主でいることの心理的苦痛はできるだけ排除し、事業に集中するべきです。余計なことで悩んでいる暇はないのです。
では、孤独と上手に付き合っていくために何が必要なのか。僕は以下のものが心に安定をもたらしてくれると思っています。
- 現金
- 忙しさ(1年目は特に)
- 事業主の仲間
- 一人にならない職場
これらがあればかなり安定した精神状態で仕事に臨めると思います。
そしてこの中で、僕が会社を作ってから最も恩恵を受けたのは「一人にならない職場」でした。
僕は会社員時代からコワーキングスペース(とレンタルオフィスが融合したスペース)の会員になっていて、先に起業している友人などと「会社の仕事」として打合せなどに使っていました。
そして独立するときにそのコワーキングスペースに友人たちと一緒にオフィスを借りたのです。
これが無かったら今の自分は無いと断言できます。
自宅での起業は避ける。経費削減だけが是ではない。
起業当初は経費削減もあって、自宅を職場にする方も多数いると思います。その気持はとても良くわかります。
しかし、今となっては絶対にオススメできないと思っています。特に家族の生活費を稼がなければならないような状況の人にとっては、尚更です。
家で作業していることはとても孤独です。この孤独感に耐性のある人ならいいのですが、僕には絶対に無理だと思いました。
僕はコミュニケーションの中で仕事をつくっていくタイプです。営業的な活動は好きではありませんが、人となりを知ってもらって、「こいつなら任せたい」と思ってもらって仕事を頂く。そんな人間は家で一人でいると、自分が社会に不要な存在なのではないかという気分になってくると思うのです。
そうすると社会との接点を持ちたいがために、安い、条件の悪い仕事も受けようとしてしまい、そうすることで作業に追われてますます社会との接点を失っていく。
こうなるとおそらくこの負のスパイラルからは抜けにくくなっていくでしょう。
これを防ぐためにも自宅での起業は避け、できれば人がいる環境で仕事をしたほうがいいと思うのです。
僕のようにコワーキングスペースに入会するのいいでしょう。また友人が経営している会社があれば、間借りさせてもらうのも良いと思います。
「自宅オフィスは絶対やめたほうがいいけど、カッコつけて家賃の高いオフィスにはいるのもダメ。誰かに間借りさせてもらうのがベストだね。」
実際に前出の友人に言われた言葉です。これも本当にそう思います。
また、このような友人とオフィスで会える状況をつくることも大切なことです。
ですから、コワーキングスペースで事業主の仲間を見つけることや、友人経営者のオフィスに間借りするというのは、創業時においては非常に理にかなった選択となるのです。
もちろん多少の費用がかかりますが、通常の賃貸オフィスを借りるよりは圧倒的に安く済みます。ここの費用が出ないようではそもそも事業を始めるべきでは無いのかもしれません。
まとめ
事業主は、基本的には孤独です。これは間違いない。しかしその孤独に立ち向かっても、人間としては大きくなれるかもしれませんが、事業自体がうまく行かなかったり、そもそも苦痛から心を病んでしまっては元も子もありません。
とにかくお金の面でのストレスからは逃れられない事業主。
本業に集中するためにも、できるだけ他のストレスが少ない状況を作っておくと良いと思います。
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Photo credit: Manuel Schmalstieg via Visualhunt / CC BY
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