2016年日本アカデミー賞は?歴代作品賞から大胆予想!
2017/02/23
今年も日本アカデミー賞の季節がやってきましたね!毎年素晴らしい作品が受賞しています。
ただ、監督や俳優のその後の活躍にも直結するだけに、何か意図的な操作はあるのか?去年は「永遠の0」勢が多くの賞を受賞しましたが、今年はどうなるのでしょうか。
過去の傾向から今年の受賞作品を予想してみたいと思います!
日本アカデミー賞とは?
まずは日本アカデミー賞がどんなものなのか、改めて確認していきます。
第一回は1978年。それから毎年開催され、事して第39回となります。アメリカのアカデミー賞を模していて、暖簾分け的に設立されたようです。
アメリカのアカデミー賞の権威はすごいものがありますね。今年はレオナルド・ディカプリオが念願の主演男優賞をようやく受賞したことで話題になりました。
かつてタイタニックで共演し、先に主演女優賞を受賞したケイト・ウィンスレットとの抱擁は見ていて感動しましたね。
さて日本アカデミー賞、1978年以前は「京都市民映画祭」というものが開催されていたそうですが、日本にもステータスの高い映画賞を、ということで当時の松竹会長・城戸四郎氏が設立に奔走したようです。
日本アカデミー賞と同趣旨の暖簾分けには英国アカデミー賞がありますね。
最優秀作品賞の選考基準は?
選考対象作品は、2014年12月14日から2015年12月15日までに公開された、選考基準を満たした作品ということになっています。
選考基準とは以下です。
- 東京地区の商業映画劇場にて初公開
- 有料上映
- 1日3回以上上映
- 2週間以上継続して上映
- 上映時間40分以上
日本アカデミー賞協会会員の投票によって行われるもので、日本国内の映画関係者によって構成されています。
年会費2万円を払うと主要な映画館で映画を無料で観ることができる会員証(フリーパス)が与えられるそうです!
会員数は2015年(平成27年)時点では約3900人となっています。
これまでの受賞作品に傾向はあるか?
さて、過去の受賞作品にある種の法則性や傾向はあるのでしょうか。もしあるとしたらそれは一体どのようなものなのか、ちょっと調べてみたいと思います。
歴代の受賞作品はこちら
回 | 年 | 受賞作品 | 主演 | 最優秀主演 | 監督 | 最優秀監督 | 時代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1977 | 幸福の黄色いハンカチ | 高倉健 | ◯ | 山田洋次 | ◯ | 現代 |
第2回 | 1978 | 事件 | 永島敏行* | ☓ | 野村芳太郎 | ◯ | 現代 |
第3回 | 1979 | 復讐するは我にあり | 緒形拳 | ☓ | 今村昌平 | ◯ | 現代 |
第4回 | 1980 | ツィゴイネルワイゼン | 原田芳雄 | ☓ | 鈴木清順 | ◯ | 現代 |
第5回 | 1981 | 駅 STATION | 高倉健 | ◯ | 降旗康男 | ☓ | 現代 |
第6回 | 1982 | 蒲田行進曲 | 平田満・松坂慶子 | ◯ | 深作欣二 | ◯ | 現代 |
第7回 | 1983 | 楢山節考 | 緒形拳 | ◯ | 今村昌平 | ☓ | 近代 |
第8回 | 1984 | お葬式 | 山崎努 | ◯ | 伊丹十三 | ◯ | 現代 |
第9回 | 1985 | 花いちもんめ | 千秋実・十朱幸代 | ◯ | 伊藤俊也 | ☓ | 現代 |
第10回 | 1986 | 火宅の人 | 緒形拳・いしだあゆみ | ◯ | 深作欣二 | ◯ | 現代 |
第11回 | 1987 | マルサの女 | 山崎努・宮本信子 | ◯ | 伊丹十三 | ◯ | 現代 |
第12回 | 1988 | 敦煌 | 西田敏行 | ◯ | 佐藤純彌 | ◯ | 西暦1000年頃 |
第13回 | 1989 | 黒い雨 | 田中好子 | ◯ | 今村昌平 | ◯ | 現代 |
第14回 | 1990 | 少年時代 | 藤田哲也 | ☓ | 篠田正浩 | ◯ | 現代 |
第15回 | 1991 | 息子 | 三國連太郎・永瀬正敏 | ◯ | 山田洋次 | ☓ | 現代 |
第16回 | 1992 | シコふんじゃった。 | 本木雅弘 | ◯ | 周防正行 | ◯ | 現代 |
第17回 | 1993 | 学校 | 西田敏行 | ◯ | 山田洋次 | ◯ | 現代 |
第18回 | 1994 | 忠臣蔵外伝 四谷怪談 | 佐藤浩市 | ◯ | 深作欣二 | ◯ | 江戸時代 |
第19回 | 1995 | 午後の遺言状 | 杉村春子 | ☓ | 新藤兼人 | ◯ | 現代 |
第20回 | 1996 | Shall we ダンス? | 役所広司 | ◯ | 周防正行 | ◯ | 現代 |
第21回 | 1997 | もののけ姫 | アシタカ* | ☓ | 宮崎駿 | ☓ | 室町時代 |
第22回 | 1998 | 愛を乞うひと | 原田美枝子 | ◯ | 平山秀幸 | ◯ | 現代 |
第23回 | 1999 | 鉄道員(ぽっぽや) | 高倉健 | ◯ | 降旗康男 | ◯ | 現代 |
第24回 | 2000 | 雨あがる | 寺尾聰 | ◯ | 小泉堯史 | ☓ | 江戸時代 |
第25回 | 2001 | 千と千尋の神隠し | 荻野 千尋* | ☓ | 宮崎駿 | ☓ | 現代 |
第26回 | 2002 | たそがれ清兵衛 | 真田広之 | ◯ | 山田洋次 | ◯ | 江戸時代〜幕末 |
第27回 | 2003 | 壬生義士伝 | 中井貴一 | ◯ | 滝田洋二郎 | ☓ | 江戸時代〜幕末 |
第28回 | 2004 | 半落ち | 寺尾聰 | ◯ | 佐々部清 | ☓ | 現代 |
第29回 | 2005 | ALWAYS 三丁目の夕日 | 吉岡秀隆 | ◯ | 山崎貴 | ◯ | 現代 |
第30回 | 2006 | フラガール | 松雪泰子 | ☓ | 李相日 | ◯ | 現代 |
第31回 | 2007 | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン | オダギリジョー・樹木希林 | ◯ | 松岡錠司 | ◯ | 現代 |
第32回 | 2008 | おくりびと | 本木雅弘 | ◯ | 滝田洋二郎 | ◯ | 現代 |
第33回 | 2009 | 沈まぬ太陽 | 渡辺謙 | ◯ | 若松節朗 | ☓ | 現代 |
第34回 | 2010 | 告白 | 松たか子 | ☓ | 中島哲也 | ◯ | 現代 |
第35回 | 2011 | 八日目の蝉 | 井上真央 | ☓ | 成島出 | ◯ | 現代 |
第36回 | 2012 | 桐島、部活やめるってよ | 神木隆之介 | ☓ | 吉田大八 | ◯ | 現代 |
第37回 | 2013 | 舟を編む | 松田龍平 | ◯ | 石井裕也 | ◯ | 現代 |
第38回 | 2014 | 永遠の0 | 岡田准一 | ◯ | 山崎貴 | ◯ | 現代 |
主演俳優との相関
まずは主演俳優との相関はどのようなものがあるのか調べてみます。
意外と大御所が主演した映画が受賞していることが特段に多いわけではなく、割りと若手から中堅どころかつ存在感のある俳優さんの主演している作品が受賞していることもあるようです。
しかし、やはり最多の主演は高倉健。言うまでもなく日本映画史に燦然と輝く名優です。出演した作品賞受賞作品はすべて主演男優賞も受賞しています。
こちらも大物、緒形拳も3作品の主演。しかし「復讐するは我にあり」で主演男優賞の受賞を逃しており、やはり高倉健の偉大さを感じさせるものとなっています。
山崎努は作品賞受賞の2作品に主演し、2作品とも主演男優賞を受賞。これはどちらも伊丹十三監督作品。伊丹映画との相性は、宮本信子とともに最高ですよね。
また西田敏行と寺尾聡、本木雅弘も2作品で作品賞・主演男優賞を受賞。
渡辺謙が1回の受賞にとどまっているのが意外といえば意外。
その他の俳優はそれぞれ1度ずつの出演ですね。その中には主演男優・主演女優賞を受賞できていない作品も多くあります。
ここで感じたのはやっぱり何度も受賞している人は大御所であり、映画業界での影響力が感じられます。
その中で本木雅弘はまだ中堅と言っていいはずですが、その受賞歴が光りますね。
このようにざっと見てみると、大物俳優を起用した作品が最優秀作品賞を受賞していれば、主演男優・主演女優賞を受賞する確率が高いと言えそうです。
監督との相関
次に監督との相関を見ていきましょう。
序盤は山田洋次と今村昌平、それに深作欣二の監督作品が目立ちますね。
また降旗康男、伊丹十三、周防正行、宮崎駿、滝田洋二郎、山崎貴も2度監督しています。
気になるのは多くの作品で監督賞と作品賞をW受賞していますが、以下の作品だけは作品賞しか受賞できていないんです。
- 1981年 駅 STATION
- 1983年 楢山節考
- 1985年 花いちもんめ
- 1991年 息子
- 1997年 もののけ姫
- 2000年 雨あがる
- 2001年 千と千尋の神隠し
- 2003年 壬生義士伝
- 2004年 半落ち
- 2009年 沈まぬ太陽
この中で、宮﨑駿のジブリ作品では一度も監督賞を受賞できていません。その後、2006年に突如「最優秀アニメーション作品賞」という賞ができます。
これはようやく映画界がアニメの素晴らしさを認めたと捉えるべきか、それともアニメは別枠で設けておかないと納まらない人が沢山いたと捉えるべきか、微妙なところですね。
「なんで俺の映画がジブリのアニメに負けるんだ!」という監督さん、古い人に多そうですしね。
ここのところは大御所が作った作品の受賞が続くような傾向は薄れ、純粋に作品が良かったら作品賞も監督賞も受賞、という流れになってきているのかな、と捉えました。
しかし監督というのは総じて50代以上でないとなれないようですね。受賞作品の監督の年齢を調べると、ほとんどの人が50代以上での受賞となっています。
もちろん様々な経験と引き出しが必要なことはわかりますが、もう少し若手の監督が脚光を浴びるようなことがあってもいいのでは、と思ってしまいます。
そんな中「舟を編む」の李相日と石井裕也は撮影時の年齢が比較的若いですね。
アカデミー賞の設立当初は大物監督の作品が数多く受賞していましたが、最近の受賞作品からはこれといった傾向も見られませんでした。
ただ多くの場合50代以上の監督の作品となっていることには注目しておきましょう。
描かれた時代との相関
最後に描かれた時代を見ていきたいと思います。
殆どの作品が現代を舞台にしていることがわかります。
これ結構意外でした。もっともっと時代劇が多い印象でしたが、時代劇といえるものは
- 1988年 敦煌 西暦1000年頃
- 1994年 忠臣蔵外伝 四谷怪談 江戸時代
- 1997年 もののけ姫 室町時代
- 2000年 雨あがる 江戸時代
- 2002年 たそがれ清兵衛 江戸時代〜幕末
- 2003年 壬生義士伝 江戸時代〜幕末
上記6作品だけなんですよね。
気になるのは2000年代当初の江戸時代作品の受賞が続いている時期。1990年代からの不況が10年以上続き、日本全体が疲れている中での作品です。
当時小泉首相が就任し、絶大な人気を誇っている時代でした。
この辺りの世相とも若干の相関関係があるのでしょうか。
敦煌は総製作費45億円という壮大なスケールで制作されました。これは明らかにバブル景気のおかげですよね。今では考えられないことだと思います。
ここ最近はまさに現代を描いた作品が多く受賞していましたが、2014年では戦時中と現代を行き来する作品である「永遠の0」が受賞。
ということで時代劇の受賞は考えにくいかなーと結論づけたいと思います。
優秀作品賞受賞作品を検証
さて、ざっと検証してきた結果、以下の要素で予想をしてみたいと思います。
- 優秀作品賞を受賞している
- 大物俳優を主演に起用している
- 50代以上の監督の作品である
- 現代を描いた作品である
海街ダイアリー
現代を描き、監督も是枝裕和で50代以上。ただ、俳優陣が若いかなという印象です。
しかしアカデミー賞の優秀賞を12部門受賞していますので、最右翼と言えます。
海難1890
1890年のエルトゥールル号遭難事件と1985年のイラン・イラク戦争のことを描いていますので、現代と言っていいと思います。
監督の田中光敏も50代。
ただこちらも主演の内野聖陽が若干若いのが気になりますね。
日本のいちばん長い日
終戦当時を描いています。
これは昨年「永遠の0」が受賞したことを考えると悪くない材料と言えます。
監督は原田眞人で66歳。主演は役所広司。
その他にもアカデミー受賞経験のある本木雅弘や山崎努も出演。
母と暮らせば
戦後の現代を描いています。
そして何と言っても監督が山田洋次。アカデミーの常連中の常連ですね。
主演に吉永小百合がいるのも好材料。
百円の恋
現代を描いた隠れた名作。優秀作品賞を受賞したことは、この映画の大ファンである僕としてはとてもうれしい。
しかし監督は現在49歳。そして主演の安藤サクラは高評価を得ているものの大物俳優とは言えませんし、一般的な知名度はかなり低いと言わざるを得ません。
ブログ書きました
映画「百円の恋」感想(ネタバレ無し) 人生そんなうまくいかないよね。
まとめ
ということで色々と考えた結果、僕の予想では「海街ダイアリー」一択かなと思います。
優秀賞を12部門というのは非常に大きいですし、TSUTAYAなどでのプロモーションも大きく、僕も何度も目にしました。
実際にどの作品が受賞するかは3月4日にわかりますよ!テレビでも日本テレビ系列で21:00から放送されるようです。
楽しみに待ちましょう!
3/6追記
3/4に日本アカデミー賞が発表されました。
やはり海街ダイアリーが最優秀作品賞を受賞しましたね。まあ大本命だったわけで当然といえば当然でした。
ロケ地鎌倉に住みたくなる映画 海街Diaryの感想
個人的にうれしかったのは、大好きな作品だった「百円の恋」が最優秀脚本賞と最優秀主演女優賞を受賞したことです。
ホントにストーリーも安藤サクラの演技も最高です。
一応、受賞リストを上げておきます。
それでは来年の日本アカデミー賞を楽しみにして、映画を沢山観たいと思います。
部門 | 受賞 |
---|---|
最優秀作品賞 | 海街diary(是枝裕和) |
最優秀アニメーション作品賞 | バケモノの子(細田守) |
最優秀監督賞 | 是枝裕和(海街diary) |
最優秀脚本賞 | 足立紳(百円の恋) |
最優秀主演男優賞 | 二宮和也(母と暮せば) |
最優秀主演女優賞 | 安藤サクラ(百円の恋) |
最優秀助演男優賞 | 本木雅弘(日本のいちばん長い日) |
最優秀助演女優賞 | 黒木華(母と暮せば) |
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